1926 (大正 15)年、上野公園に開館した東京都美術館は、このたび開館 90 周年を記念し、「木々との対話--再生をめぐる 5 つの風景」
を開催しています。 本展覧会は現代作家 5 名-國安 孝昌、須田 悦弘、田窪 恭治、土屋 仁応、舟越 桂――の作品により、木という素材による表現の奥深さを体感いただこうとするものです。 命ある存在として、人々の暮らしに深く関わる木に、私たちは古来より親しんできました。 木は希望の象徴であります。 3.11から 5 年を経た今年、本展は 「木と再生」 をキーワードに、多様な表現が並びます。 |
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'2016 7_25 プレス内覧会 & 開催式の会場風景です。 |
開館 90 周年記念展 「木々との対話」 東京都美術館 開会式 '2016 7_25 |
「展示構成」 ―「木々との対話」の図録、PRESS RELEASE 、チラシより抜粋などして文章を掲載しています― |
動物や幻獣の姿により幻想的な世界を展開する土屋。 廃材に金箔を貼るシリーズの旧作とともに、野外でのイチョウを使ったインスタレーションに挑む田窪。 本物と見まがうほどの精緻な植物の彫刻によるインスタレーションで、空間を一新させる須田。 木材と陶ブロックで、生命力溢れる巨大なインスタレーションを手がける國安。 そして肖像彫刻や 「スフィンクス・シリーズ」 など異形の人物像により、彫刻表現の新境地を開拓し続ける船越。 5 名の作家による全く様相の異なる 「5 つの風景」 には、木という素材ならではの深遠なる象徴性が存在していることを感じとっていただけることでしょう。 |
「木々との対話」の展示構成 土屋 仁応 TSUCHIYA Yoshimasa 田窪 恭治 TAKUBO Kyoji 須田 悦弘 SUDA Yoshihiro 國安 孝昌 KUNIYASU Takamasa 舟越 桂 FUNAKOSHI Katsura |
'2016 '7_25 プレス内覧会のギャラリー会場内風景です。 _画像をクリックすると大きな画像でご覧いただけます。 |
土屋 仁応 TSUCHIYA Yoshimasa
土屋仁応は、実在の動物や、神話や伝説の動物を仏像彫刻の技法を取り入れて彫刻し、独自の技法による着色を施す、若い世代を代表する木彫作家です。 |
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・土屋 仁応 ・2 《麒 麟》 2010年 檜、水晶、彩色 20 x 16 x 5cm 個人蔵 |
【略歴】 |
【受賞】 |
【最近の主な個展】 (2007~2016年個展・グループ展国内・海外多数) |
田窪 恭治 TAKUBO Kyoji
田窪恭治は、フランス・ノルマンディ地方にある礼拝堂 「林檎の礼拝堂」 や 「こんぴらさん」 の再生プロジェクトで知られるベテランのアーティストで、多くの国際展に出品し、その実績は数々の受賞と高い評価を得ています。 |
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・田窪 恭治 ・19 《イノコズチ》 1985年 木、鉄、石、ワイヤー、金箔、オイルステイン 249 x 367 x 367cm 宇都宮美術館 |
【略歴】 |
【受賞】 |
【最近の主な個展】 (1969~2016年個展・グループ展国内・海外多数) |
須田 悦弘 SUDA Yoshihiro
草花をかたどった精緻な木彫を、床板の隙間や部屋の片隅に配置するというインスタレーションで知られる。 彫刻と彩色の巧みな技術によって制作された植物は、精巧で美しく、本物と見紛うほどリアルである。 作品は特定の場所に設置されることではじめて完成し、空間を含めてひとつの作品とみなされる。 1999 年の原美術館での個展や、2003 年のシカゴ美術館での個展をはじめ、国内外で絶えず作品を発表し続け、近年はヨーロッパでの個展を中心に活動している。 |
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・須田 悦弘 ・26 《バラ》 2016年 木、彩色 |
【略歴】 |
【受賞】 |
【最近の主な個展】 (1993~2016年個展・グループ展国内・海外多数) |
國安 孝昌 KUNIYASU Takamasa
本展では、天井高 10 メートルを超える、ギャラリーA の独特な巨大空間を生かし、丸太と陶ブロックを用い、屋内では最大規模のスケール感と、密度の高いインスタレーションに挑みます。 26歳で個展を開き、日本、アメリカ、カナダを巡回した 「プライマル スピリット――今日の造形精神」 展 (1990-91 年) に最年少で選抜され、大きな注目を集めた。 近年では各地において、「竜神」 や 「水神」 というタイトルの、私たちが忘れかけている精神性や伝承を象徴するような作品づくりを行なっており、仮設の構築物は屋外でも屋内でも強い存在感を持ち、周囲の空間を一変させてしまいます。 |
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・國安 孝昌 ・30 《CHI VA PIANO LONTANO 2016 (静かに行く人は、遠くへ行く。)》 2016年 |
【略歴】 |
【受賞】 |
【最近の主な個展】 (1983~2016年個展・グループ展国内・海外多数) |
舟越 桂 FUNAKOSHI Katsura
舟越 桂は、気品と格調の高い木彫による肖像彫刻と 「スフィンクス・シリーズ」 など異形の人物像で人気の高い、今日の日本を代表する彫刻家です。
半身の肖像彫刻というスタイルを確立し、国内外で高い評価を得る一方、2000 年以降は裸体像に表現領域を広げ、さらに近年では両性具有のスフィンクスのシリーズにも取り組んでいます。 |
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・舟越 桂 ・34 《森の奥の水のほとり》 2009年 楠、大理石、真鍮、彩色 96.2 x 50.8 x 34cm 個人蔵 |
【略歴】 |
【受賞】 |
【最近の主な個展】 (1976~2016年個展・グループ展国内・海外多数) |
開館 90 周年記念 木々との対話 ― 再生をめぐる 5 つの風景 ― | ||
東京都美術館ものがたり ニッポン・アート史ダイジェスト | ||
[芸術の秋」 はここからはじまった ― 晴れがましい聖地としてのギャラリー ― 上野公園に東京都美術館が 「東京府美術館」 として生まれたのは 1926 年。 大正が終わり、昭和がはじまった年である。 このころ上野公園では、9 月に院展と二科展が、10 月に文展がすでに開催され、やがて府 (都) 美術館がこれらの定番の会場となる。 「芸術の秋」 の由来ともいわれている。 ところが府美術館ができるまでは、わが国には美術館が存在しなかった。 院展などが行われていた上野公園内の竹之台陳列館は、博覧会でつくられたいわば仮設の建物だった。…美術館ひとつもてなければ西洋に後れをとる。 こうした世論が連日のように新聞各紙で声高に叫ばれていた。…長年の悲願は、たったひとりの実業家の篤志によって実現する。 九州の石炭商・佐藤慶太郎が建設資金の全額にあたる 100 万円、現在の 32 億円相当を東京府に寄付したのである。… 1926 年 5 月、府美術館オープン。 政府主催の官展から在野の美術団体を問わず、芸術家の発表の場となり、1975 (昭和 50) 年に建て替えられるまで美術の聖地でありつづけた。 ここに作品が飾られることは、芸術家として認められたことを示す。 その晴れがましさは格段だったと、旧館を知る人たちは口々に語る。…(「第1章 美の殿堂」 旧館時代―最初の公立美術館 p23) |
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東京都美術館を建設にあたっては、北九州の実業家佐藤慶太郎氏の寄付によって建設された。 その時からすでに始まった公募展、内外の美術の名品展等の会場として、以来約 50 年間、旧都美術館は役割を果たしました。 昭和 50 年(1975)に現在の建物、この新館の美術館が開館いたし、そして、美術館としての機能は企画事業、研修ともに格段に充実させ、その後、現代美術館の開館とう、都美術館も色々と変化をしながら 40 年間を迎え、今日に至りました。 旧館の 50 年と新館の 40 年、合わせて 90 周年を迎えました。 特に 4 年前、大規模改修を致し、その時に東京都美術館は、すべての人々に開かれたアートへの入口となり、人々の豊かさのよりどころとなることを願って、現在も様々なアート事業を展開しています。 …「東京都美術館館長 真室佳武」 |
お問合せTel:03-5777-8600 (ハローダイヤル) 展覧会特設サイト:http://www.90th.tobikan.jp 公式サイト:http://www.tobikan.jp/ 主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団) 協力:ギャラリー小栁、西村画廊、メグミオギタギャラリー、 上野「文化の杜」新構想実行員会、木更津・中尾伊豆島プロジェクト 協賛:日能研 特別協力:新日鐵住金株式会社 |
参考資料:「木々との対話」 図録、PRESS RELEASE、「東京都美術館ものがたり―鹿島出版会」他。 |
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